クロニクル・ディズアスター 第一話











 暗い場所だった。闇に濃淡があるあのだとすれば、最も暗い闇がそこにあった。

 その闇の中で、魔術師エリザベート・ドロワーテ・フォン・エッシェンシュタインは目
を開いた。

「こんにちは、異界からのお客様?」

 彼女が闇に向かって声を投げかけると、そこに驚きを表す波紋が広がる。

「魔術は貴方達だけの技術ではないのですよ。さすがにそちらには及びませんけど、こち
らにも魔術師はいます」
「僕らの世界にも貴女ほどの使い手はいませんよ…」

 時空を跳躍する途中の人間を捕らえ、さらに自分の『空間』に引きずり込むなど並の芸
当ではない。返ってくる声にはエリザに対する畏怖すら込められていたが、彼女は悠然と
微笑み――と言っても、闇の中故相手に表情が伝わるはずもないが――すっと目を細めた。

「何の御用です? 返答しだいでは即刻お帰りいただくことになりますけど…」
「世界を…貴女達の世界と僕達の世界を守るために…」

 魔術で思考が伝わってくる。今現在の状況、その『事象災害』の対処方法…そこに何ら
かの改竄がない所を確認すると、エリザは彼を自らの『拘束』から解いた。

「行っても構いませんよ。ただ、こちらの世界に甚大な被害が出るようなら強制的に送り
返しますから」
「覚えておきます…それで、貴方の名は?」
「エリザベート…この世界を見守る者です…」
「僕は、ミッドチルダ中央議会議長、クロノ・ハーヴェイです。貴女の理解と協力に感謝
します」

 そう言って、彼――クロノは、エリザの『空間』から飛び立っていった。




「ふぅ…」

 空間から魔術書斎の椅子に転移すると、エリザは大きくため息をついた。ここまで神経
を使う魔術を使うのも久しぶりだった。クロノの前では余裕ぶって見せていたが、彼の隠蔽
工作も中々の物だったし、補足できたのは偶然と言っても差し支えない。

 だが、その奇跡的な補足にも価値はあった。厄介事を抱える異界からの訪問者などすぐ
に送り返してもよかったのだが、今回ばかりはあの少年を見逃すことにした。

 彼に関してはきっと面白いことになる…危険を内包しているのは承知だが、事象を凍ら
せるだけの災害などエリザ一人でも対応ができるのだから、問題はない。

 それに、あの少年は一つ勘違いをしている。この世界があの『事象災害』に対して何の
対応も取れないと考えている…この世界にも魔術師はいるのに。エリザ以外にも、頼りに
なるあの青年が…

「おそらくこれが前段階では最後の壁になるでしょう」

 自らの杖を『引き寄せ』、見えない何かを見据えるように目を細める。目的のため、エリ
ザはここまで過ごしてきた。だがそれが、取るに足らない事情で邪魔されようとしている。
ここで万が一にも失敗する訳にはいかない、下手をすればこの世界その物が凍り付いてし
まう。

「私の世界を凍らせるのなら、滅ぼしてあげましょう。ヒドゥン…不可視の化け物…」

 杖を振り、魔術を発動させる。目標は…日本。彼の…彼らの元へ。




「…ったく、今回は無用に疲れた…」

 仕事が終われば、たどり着くのは楽しい我が家。仕事が退魔師という特殊な物であった
としても、それは変わることのない真理であるはずなのだが…真一郎はずっとこの調子で
あった。

「真一郎…いい加減に文句いうの止めたら?」
「だってさ…和音さんは簡単な仕事って言ってたのにさ…行ってみたらなんだい。二流派
総出の大仕事じゃないか…」

 そのせいで、企画していた予定は全てパー。瞳やさくらを始め、知り合いの女性人から
猛反発を受けることになった。出先でその文句を受けることになった彼の落胆を想像でき
るだろうか?

「それだけ真一郎が頼りにされてるってことでしょ?」

 ふてている真一郎の頭を撫でるは、彼の守護霊たる春原七瀬嬢である。あの日、旧校舎
での出会いから早七年…今では拘束されることのない守護霊としての生活にも慣れ、真一
郎達共うまくいっていた。

 ただ、最近はこんな風に妙に年上ぶる所が出てきたために、女性相手には無敵を誇る真
一郎でも、手玉に取られている感じだった。

「ならいいんだけどさ…」

 答える真一郎の声には、どうにも覇気がない。

 と言うのも、一応真一郎は一灯流所属の退魔師という扱いになっているが、実際の所は
和音の下で働いているようなものだった。ぶっちゃけた話、他の退魔師と違って和音を通
してでしか仕事を貰えないのである。

 もっとも、金には困ってないし仕事もそれほどまでに危険なレベルではないのだが、和
音の持ってくる仕事はとにかく難儀なのである。どれくらい難儀なのかと言うと、一ヶ月
くらい前から計画していた集まりの予定を諦めなければならないくらい…

「ご主人様は最近怠けてますから、もう少し頑張ってほしいです」

 背負っていた山のような荷物を降ろし、少女が真一郎の膝の上に乗っかる。限りなく白
色に近い銀髪をポニーテールにした可憐な美少女…に見えるが、その実態は規格外の人間
が集まる海鳴市においてもずばぬけた実力を持つ、本物の『魔人』だった。

 名を、ざから。三百年前、この辺り一帯を廃墟にした大妖怪である。

「怠けてる訳じゃないの。俺は俺で色々忙しいんだから」
「瞳やさくらと遊ぶ約束してる時点で怠けてます。そんな暇があるんだったら、私と遊ん
でください」
「ほ〜そんなに言うんだったら遊んであげましょう」

 膝の上という絶好のポジションでむ〜っとこちらを見上げているざからのほっぺたを両
側から抓り、上下左右に引っ張る。

 真一郎の数多あるお仕置きの一つ『うにゅ〜の刑』である。この場合、『ぐりぐりの刑』
も捨てがたいのだが、ざからのほっぺたは小鳥なみに柔らかいためにこの少女にやるのは
大抵これだ。

「俺も楽しみにしてたさ…知ってるでしょ? 約束を破った時にあの人達がどうするか」

 彼女達は何もしない…何も語らない。ただ、天使のような笑顔で悪魔のような無言の重
圧をかけてくるのだ。それも、真一郎が本気謝るまでずっとである。はっきり言って、生
きた心地のしない空間だった。あんな場所に放り込まれるなら、まだ恭也を一ダースくら
い纏めて相手にする方が気が楽だ。

「ほほるのは、はふのは、ほっひかにひへふはさい」
「…まあ、ここでざからに当たってもしょうがないんだけどね…」

 いくらざからを苛めても、結局は瞳達におしおきされるのだから本当に無意味である。

 ほっぺたから手を離すと、赤くなった頬を摩りながらざからは恨みがましい目でこちら
を見上げた。そんな彼女を思わず抱きしめたくなる衝動に駆られながらも、真一郎はゆっ
くりと台所を指差した。

「お茶、三人分用意。後お茶菓子も…大至急」
「わかりました…」

 ぶうたれたまま、それでも真一郎の言葉に従ってざからは台所に消えていく。

「七瀬さ〜ん…手伝ってください…」

 手に自分の荷物と一週間分の郵便物を抱えた雪が、危なっかしい足取りで居間に入って
くる。

「そんなに欲張らなくても…一回置いてからまた戻ればいいでしょう?」
「あはは…何だか欲張っちゃいました…」

 どさどさ…テーブルに落とされる一週間分の新聞等々。真一郎はそれらを雪と一緒に所
帯じみた世間場話をしながら、必要不必要に選り分けていく。

「お?」

 その作業をしていた真一郎の手がぴたりと止まった。手の中には差出人の名前すらない
真っ黒な封筒がある。怪しいことこの上ない一品であるが…

「それは…エリザ先生からですか?」
「だろうね。こんな怪しい物送ってくるのはあの人くらいだろうし…」

 本当にあの師匠は、とため息をつきながら、真一郎は封を切り中の便箋に目を通すが…
一秒も経たずにそれを雪に差し出した。

「雪さん、お願い」
「何ですか?……ああ、ラテン語ですね。先生もまた…」
「雪さん、読める?」
「ええ、この程度なら。ちょっと待ってくださいね」

 読書用の眼鏡をかけ、雪はしばしの間便箋に目を走らせる。そして、ざからがお茶セッ
トを用意して戻ってくる頃には(真一郎にすれば驚異的な速さで)解読が終わっていた。

 全員にお茶が行き渡るのを待ってから、雪はおもむろに口を開く。

「魔法少女を探せ…だそうです」
『魔法少女?』

 雪以外の三人の声が見事に重なる。

「ええ。正確には、その魔法少女を探し出して目的をばれないように補佐しろ…というこ
とみたいですけど」
「魔法少女ねぇ…」

 エリザからの手紙、そしてその単語。それらから連想されることがらは…

「やっぱり、エリザの悪戯かな?」

 正確な所は真一郎達も知らないが、エリザの本の虫具合は相当な物である。魔術関係限
定にしても、それらを埋めるだけで広大な部屋を丸々一つ占領してしまうのだ。ましてや、
彼女は趣味で集める『それ以外』の本のなど、何冊あるのか検討もつかない。

 そんなせいで、彼女の本の趣味がどういった物なのか真一郎達は把握していないのだ。
シェイクスピアを薦めてくることもあれば、次の日には歌舞伎の台本を読んでいることも
ある。そのエリザが――あの、自分の弟子を死なない程度に小突き回すのが何よりも好き
な彼女から、そんな怪しい単語が出てきたのなら…真一郎は間違いなく疑ってかかる。

「俺としては、日本の漫画を読んでそう言ってみたい気分になったんじゃないかと推測す
るけど…」
「でも、悪戯にしては手が込んでませんか?わざわざ手紙にして送ってくるくらいですし」
「新しい種類の悪戯を編み出してたとしても、あたしは驚かないけど」
「まあ、これが悪戯かそうでないかは後で決めるとして…七瀬、君は魔法少女って聞いて
どんな物を思い浮かべる?」
「そうね…魔法のステッキを持ってて、呪文を唱えると何でもできちゃう女の子…のこと
かな?アイドルだったり、魔界の女王様になりたかったり…」

 昔のことを思い出すようにして七瀬は言葉を紡ぐが、その言葉に対する真一郎の反応は
…何というか、微妙なものだった。

「なによ…文句あるの?」
「いや、別に。そう言えば、七瀬と俺って年の差があったんだなぁって今更ながらに感じ
ただけで…」

 言い切ってから、真一郎は自分が蛇の尻尾を踏んでしまったことを理解した。七瀬の身
体からは形容しがたいオーラが立ち上っている。隣にいる雪は、それに少しばかりびびり、
ざからはトラブルの予感に、暢気にお茶を飲みながらも目を輝かせている。

「あの…七瀬さん?」
「女の子に婆なんて言ったんだから、半殺しくらいの覚悟はできてるよね? 真一郎」
「誰もそこまで言ってないし…ただ、世代が違うなぁと」
「…コロす」

 後ろ向きに弁解しながら、ソファの上を移動して七瀬から距離を取る。守護霊である七
瀬の能力は基本的にただ一つ――念動力である。無意識のことではあろうが、すでに彼女
の力の影響を受けているカップがカタカタと震えている。

 これは、殺られる…半ば確信した真一郎が霊力を練り、来るべき攻撃に備えていると―

 呼び鈴が鳴った。まさに、神の助けとも言えるような絶妙のタイミングで。

「ほら、お客さんだよ」
「無視しなさい。今は決着を着ける方が先…」

 ゆら〜りと迫ってくる七瀬にびびらないようにしつつ。真一郎は雪に来客を中に入れる
ように目配せした。雪は苦笑しながらも、了解した旨を真一郎に伝え玄関に向かった。

「こんにちは〜」

 短いようで長かった睨み合いを破ったのは、そんな元気な声だった。切れかけていた七
瀬も流石に客の前で事を構えるつもりはないのか、一応剣呑な気配を霧散させた。ただ、
この借りは必ず返す的な視線を送ってくることは忘れなかったが…

「く〜ん!」

 先ほどの元気な声にも負けない元気さで、小さな影が真一郎の胸に飛び込んでくる。真
一郎は、それを優しく抱き上げると万感の思いを込めて頭を撫でた。離れていたのは、一
週間ほどであるが、こうするのは何だか久しぶりな気がする。それも、そうだろう。この
娘も、真一郎の家族の一人なのだから。

「ただいま…久遠」
「…おかえり、真一郎」

 瞬間的に子供の姿へと変化して、久遠は真一郎に抱きついた。姿が変わってもすること
は一緒、久遠の気が済むまで頭を優しく撫でてあげる。彼女の今の気持ちを表すように、
尻尾はぱたぱたと左右に揺れていた。

「こんにちは…」

 妹の親友とその飼い主の戯れを見て入りずらくなったのか、前の二人に比べれば控えめ
な挨拶が真一郎の耳に届く。

「こんにちは、美由希ちゃん」

 真一郎は久遠を床に降ろすと、美由希に笑顔を向けた。久遠を預けに会ったとき以来だ
から、この娘に会うのも一週間ぶりだ。黒髪をみつあみにして、いつものシックな服装。
首からはいつだったか真一郎の送った、牙の形をしたペンダントが下げられている。

「ごめんね、久遠を預かってもらっちゃって。大変だったでしょ?」
「いえ。私達も楽しく遊ばせてもらいましたから、そんなことはありませんよ」
「そう言ってもらえると助かるよ。で…なのはちゃんは――」

 いつもなら、率先して挨拶にくるあの元気のいい美由希の妹の姿を探して…真一郎は硬
直した。

「…どうしたんですか?」

 美由希の背中に隠れるようにしていたなのはが、突然自分を見つめだした真一郎を不思
議そうに見上げてくる。

「ん? ああ、何でもない何でもない…ざから」

 身体ごと後ろに下がって、なのはを他の皆にも示す。表情を見ると…ほぼ全員が一瞬だ
け真一郎と同じように硬直した。

(錯覚では…ないみたい)
「…ちょっとこれから美由希ちゃんと話があるから、なのはちゃんと久遠と上で遊んでて
くれないか?」
「わっかりました。じゃあ、行きましょう二人とも」

 真一郎の意図を察してくれたのか、ざからは取り立てて文句も言わず二人を上に連れて
行った。三人が消えると、美由希を除いた全員が一斉に顔を見合わせる。

「見えた?」
「ええ…真一郎さんもということは見間違いじゃないみたいですね」
「幽霊とかではないみたいよ。気が全然違うし…何て言うのかな…生きてる人間が術であ
んな姿にでもなった…っていうのが一番近いと思うけど…」
「探すまでもなかったってことかな…」
「あの…私に話ってなんですか?」
「ああ、ごめんね。話ってのはなのはちゃんのことなんだけど…」

 そこで一回言葉を区切って、辺りに気を巡らせる。まさか聞き耳を立てられているなど
ということもあるまいが、彼女『達』に聞かれるとことなので、気をつけるにこしたこと
はない。

「なのはちゃん、最近変わったことなかったかな?」
「変わった…ですか」

 そんな質問をされると思ってもみなかった美由希は、腕を組んで考える素振りを見せる。

「そう言えば、最近少し落ち着きがなくなった感じです…」
「そっか。じゃあ、もう一つ質問。魔法少女って聞いて、美由希ちゃんはどんなのを思い
浮かべる?」
「魔法少女…ですか?」

 これまた、年頃の女の子にぶつけるには少々不適切な質問である。だが、いい意味で真
一郎がどういう人間かを知っている美由希は真面目に考えて、真面目に答えてくれた。

「何か…魔法のステッキとかを持ってて、お供の獣とか妖精よかが一緒にいる…」
「ちなみに、魔法少女の年齢は?」
「さあ…小学生くらいだと思いますけど」

 お供に獣と妖精を連れている小学生…見事なまでに条件に合致する少女は今二階でざか
らと遊んでいるはずである。ついでに言えば、お供の獣と妖精さんも一緒のはずだ。

「それがどうしたんですか?」
「実は、エリザから手紙が来てね…」

 美由希も身内なので、手紙の内容を包み隠さず話す真一郎。いいかげん、オカルト関係
にも耐性がついてきた美由希は、疑うことなく彼の話を信じ、それからため息をついた。

「いいなぁ…なのは」
「…美由希ちゃんが魔法少女になるかならないかは後で考えるとして、これからなのはち
ゃんの行動をマークしようと思うんだ。しかも、ばれないように…」
「難しくない? 相手は魔法少女よ…」
「そんなこと言われてもね…エリザからやれって言われたんだったら、やるより他はない
でしょ?」
「せめて、どんな風にやればいいかくらいの指示はくれないもんかな」
「夜にパトロールでもしてくれればいいですよ」

 唐突な声の出現に、その場にいた全員が思わず腰を浮かせるが…美由希は対応しきれず
に床に尻餅をついていた。その声の主…エリザはざからの置いていったお茶を飲みつつ、
何でもないように四人を見回した。

「なのはちゃん夜中に仕事をしに家を出て行くはずですから、それに合わせて真一郎達も
調査をしてください」
「それはいっこうに構わないけど…何を調べればいいの?」
「これです…」

 そう言って、エリザは手に持っていた何かをテーブルの上に置いた。拳大で、色は乳白
色に黒を混ぜたような色。透明性は悪く、日の光に翳すと鈍く輝く。おもちゃ屋で一山い
くらで売っている…見ただけでは、それだけの石だった。

「それは、イデアシードと名付けられているようです。私は二日前にこっちに来たんです
けど、日本中でそれと同じものを後二つほど見つけました。あまりのようなものです。残
りのすべては、ここ海鳴市に撒かれていると思って間違いありません」

「ただの石じゃないことは見れば解かるけど…これは何?」
「記憶を食べる石…とでも言えばいいのでしょうか? 仕組みは詳しく調べないと解かり
ませんが…」
「要するにこれを何とかすればいいんでしょ?」
「当面は…ですけどね。最終的な目的は別にあります」

 倒れたままだった美由希を助け起こしながら、エリザが言う。

「分かった。俺達で見回りでも何でもしましょう。ここしばらくは休みだし…ざからの遊
びにもなるしね」
「助かります。それから、しばらく私もこの家に厄介になります。よろしくお願いします
ね、真一郎」
「それはいいけどさ…魔術で人のうちにいきなり転移するのは止めて。心臓に悪いから…」
「今日は魔術使ってませんよ。ちゃんと玄関から入ってきました」

 ふふん、と胸を張って言うエリザに真一郎達は思わず顔を見合わせた。自慢ではないが、
真一郎達――特に真一郎と美由希は、武術を学んでいるために気配を読む技術には長けて
いる。殺気があれば感知できるし、どこに誰がいるかというのも何となくではあるが分か
る。

「まだまだ修行が足りませんね」

 それが、隣に座った彼女の気配を察知できなかったとあれば、正直へこむ。落胆する真
真一郎達が面白かったのだろう、エリザは上機嫌に笑ってお茶に口を付けた。